sustainability 私たちが与える影響の評価

環境に与えている影響を従来の環境報告書をはるかに上回るレベルで評価、把握するために、ステラ マッカートニーではEP&L(環境損益計算書)という意思決定にも役立つ画期的なツールを使用しています。

環境損益計算書は、企業が環境に与える影響を把握するために、ケリングが開発した画期的なツールです。ステラ マッカートニーでは環境損益計算書を活用して、事業の一つひとつのプロセス(使用している原材料から、服を製造して店頭で販売する方法に至るまで)が与えている影響を評価しています。

環境損益計算書の仕組み

環境損益計算書は、ステラ マッカートニーのグローバルサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量、水の使用量、水質汚染、土地利用、大気汚染、廃棄物を評価する自然資本会計の一種です。私たちが与えている影響が金額に変換され、これにより経営手法が生み出している隠れた費用と隠れた利益を把握できるのです。

こうして現実を把握することで、イノベーションが促進され、素材の調達方法から衣類の製造方法まで、私たちが行うすべてのことに関して、より良い、より持続可能性の高い決定を下せるようになるのです。

  • 自然資本
    • 自然資本とは世界の自然資産(地質、土壌、大気、水、すべての生物を含む)のストックであると定義できます。
    • 他にも数種類の形態の資本がよく知られていますが、自然資本はそれらのひとつです。その他の資本のうち、より身近なものとしては、金融資本、人的資本、知的資本があります。
    • 地球の自然体系は、年間推定72兆ドルの財およびサービス(すなわち自然資本)を「無償で」提供しています。これには、食品、水、繊維、建築資材、医薬品といった一目瞭然のサービスだけでなく、自然洪水制御、炭素隔離、気候調節など、目に見えないサービスも含まれています。¹
    • 自然資本を「使い過ぎ」た場合、金融資本と同じく借金がかさみ、同じようにそれを返済する方法を見つける必要があります。自然資本の負債の返済方法の例としては、皆伐地での再造林、あるいは土地を回復させる農法の支援などがあります。
    • 自然が回復できる状態にすることなく、あるいは自然の回復を促すことなく、自然資本のストックを使用し続けると、局所規模、地域規模、さらには地球規模で生態系が崩壊するリスクを負うことになります。
    • 私たちは大量の自然資本を所有、管理しているわけではないにもかかわらず、それらが提供する生態系の財およびサービスから恩恵を受けています。そのためステラ マッカートニーでは、自らの活動が自然資本にどれほど影響を与えているかについて関心を持っているのです。
  • 環境損益計算書の手法
    • 環境損益計算書は、PwC社のサポートを受けながら、ケリングが主導して開発してきました。この開発には、産学の多彩なサステナビリティ専門家から得た貴重な情報が含まれています。
    • 環境損益計算書は、厚生経済学を活用して、ある企業が引き起こしている環境の変化に値段を付けることによって機能しています。
    • 環境損益計算書は3つのパーツから成り立っています。1)上で図示した6つの影響領域を通して企業の直接業務とサプライチェーンの環境フットプリントを定量化する。2)これらの排出物または資源利用の結果として生じる可能性のある環境変化(例:気候変動)を推定する。3)これらの環境変化によって影響を受ける人々の幸福度の変化(例:健康への影響、清浄な水へのアクセス)を金額で評価する。
    • ステラ マッカートニー社の環境フットプリントを評価するために、私たちは3種類の主要データを社内、またサプライヤーから収集しています。1)素材データ:使用した素材の内容、使用した素材の量、原材料の調達先、2)財務データ:サプライヤーも含めた支出額、3)環境データ:サプライヤーの用地、および当社の直営店、オフィス、倉庫から得た環境データ。
    • その後、このデータを、ライフサイクルアセスメント(LCA)、環境を含めたインプット・アウトプット(EEIO)モデル、業界統計から得た二次データと統合します。
    • EEIO分析を当社の財務データと統合し、当社の中核事業および中核製造事業(例:機械製造)を支援するために必要な活動の影響をモデル化します。
    • 排出や資源の使用によって生じる人間の幸福度の変化を推定するためPwC社が開発した環境損益計算書の評価方法では、現地のコンテクストの中での私たちの活動を考慮に入れています。これは重要なことです。なぜなら、都会の環境で排出される大気汚染物質1トンは、農村環境で排出される1トンと比べて人々に与える影響が大きいからです(人口密度の高い地域では、より多くの人々に影響を与えるため)。
    • 環境損益計算書がどのように開発されたか、また、その背後にある手法に関する詳細な解説は、ケリングのEP&Lの手法と報告書2013年版でご覧いただけます。>

私たちが与える影響の緩和

ステラ マッカートニーは、2012年から環境損益計算書を使用しており、これによって毎年、環境負荷の大幅な低減を実現しています。私たちが下した決定の一例です。私たちがいかにして環境負荷を減らしたかを概ねご理解いただけると思います。

2014年の環境損益計算書から明らかになったのは、ステラ マッカートニーの使用素材の中でカシミアが占める割合は0.1%に過ぎなかったにもかかわらず、原材料段階での合計環境負荷の42%を占めていたということでした。この実態を把握したことにより、私たちはヴァージンカシミアの使用を中止し、代わりに再生カシミアを使用すると決断するに至ったのです。カシミアの調達方法をこのように変更することで、私たちは環境への影響を軽減させました。例を挙げると、2014年のカシミア使用量が使用素材全体に占める割合は0.1%にすぎませんでしたが、環境損益計算書の総影響量に占める割合は28%でした。2016年までに、多くのカシミアを使用したにもかかわらず、これを総影響量の11%にまで抑制できたのです。

リサイクルポリエステルはヴァージンポリエステルと比べて炭素フットプリントが75%低く、水使用量を最大90%削減できます。2016年にはリサイクルポリエステルの使用量を38%増やし、コレクションにリサイクルナイロンを導入しました。

2016年の環境損益計算書

現代的な企業になるには、環境に及ぼす影響を正確に理解する必要があると私たちは考えています。環境に不利益を与えるのではなく、環境と連携するような事業を構築するためにより持続可能な行動を取れるよう、ステラ マッカートニーでは毎年、環境損益計算書を使用し続ける予定です。

  • 結果
    • ステラ  マッカートニーの2016年グローバル環境損益計算書は、697万ユーロでした。
    • 私たちが環境に与えている主な影響は、使用する原材料の生産に起因するものです。
    • 2015年と比較して2016年は、総使用原材料が5%増加しましたが、環境損益計算書の影響量は2015年比2%増にとどまり、私たちのサプライチェーンが原材料生産段階で与える影響は、実質的に8%減少しました。
    • 動物繊維の使用は、動物を飼育するのに必要な土地や、動物の飼育中に放出される温室効果ガスの排出が原因で、私たちのサプライチェーンに最大の影響を与えていることを認識しています。
    • 私たちは2つの方法で、この影響に対処しています。
      1)最高のアニマルウェルフェア基準を満たした牧場から調達したウールを確実に使用できるようにするため、これまで2年間かけて牧場に特化したプロジェクトを発足させました。
      2)このような新しい形の繊維を開発する革新的企業を支援し、連携しています。ボルトスレッド社(酵母と砂糖を使用して、分子レベルではクモの糸に酷似しているが人工的に製造できるシルクを開発している秀逸な企業)とのパートナーシップは、その一例です。
    • 原材料が与える影響がこのように低減したのは、当社が使用する素材の種類やその調達先を変更したためです。

2016年の環境損益計算書レポート、 2015年の私たちのレポートはこちらからご覧いただけます。 >

 


 

¹ “The New Business Imperative: Valuing Natural Capital”, Corporate EcoForum, The Nature Conservancy

 

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